必要換気量の算出

無窓の居室や劇場等の居室の換気量測定検査では、まず「必要換気量」を確かめなければなりません。確認申請等に添付されている設計図書には、機器の定格風量や設計風量、必要換気量、居室の床面積などが記載されています。きちんと当初の設計図書が保管されている場合は、その資料から確かめることができますが、築年数の経過した多くの建物では、資料が残っていません。また、資料が残っていたとしても、増改築等により、当初の設計から変更されていることもよくあります。

こういった場合には、計算式により対象となる居室の必要換気量を求めなければなりません。
必要換気量を求める計算式は以下になります。

V=20Af/N

V:必要換気量 (m3/h)
Af:居室の床面積(m2)
N:1人あたりの占有面積(m2/人)

計算式の「20」という係数は、1人あたり1時間に最低20m3の換気量が必要ということを表しています。Af/Nは、居室の床面積に対して何人の在室者がいるかを表します。
つまり、無窓の居室の必要換気量は、その部屋の在室者の人数により変化します。部屋の実際の使用状況に応じた形で、人数を計算しなければなりません。

一般的な事務所などの居室でN=3~5程度、劇場・集会場や飲食店など密集するところではN≦3程度が目安です。密集する劇場・集会場等でN=3を超える場合は「3」で計算します。また一般の居室でN=10を超える場合は「10」で計算することとなっています。

換気上有効な開口部がある場合

自然換気に必要な床面積の1/20の開口には満たないが、窓などが設置されている場合、その開口分の換気量を必要換気量より差し引くことができます。
その場合の算出計算式は以下になります。

V=20(Afー20W)/N

V:必要換気量 (m3/h)
Af:居室の床面積(m2)
W:有効開口部の面積(m2)
N:1人あたりの占有面積(m2/人)

※ただし、上記計算方法は「劇場等の居室」には適用できません。

換気量測定の方法

換気測定


実際の換気量測定は、風速計を使用し測定します。風速計についきましては、いくつか種類があり、また値段も安いものから比較的硬化なものまで様々です。法定点検業務などで使用する測定機器は、きちんとした測量機器メーカーのものが精度、耐久性の面からも良いでしょう。KANOMAX(カノマックス)testo(テストー)マザーツールなどがおすすめです。
方式として画像のような「熱線式」とプロペラのついた「ベーン式」があります。定期検査業務で使用するには、ペーン式より熱線式の方が扱いやすい印象です。また、本体と測定部が離れたセパレートタイプがいいでしょう。

実際に、排気口や給気口で風速計を使って風速を計測します。

風速計(ベーン式)

風速計(ベーン式)

風速・風量計(熱線式)

風速・風量計(熱線式)

建築基準法の定期検査で行う風量測定では、告示285号で、同一断面で5箇所を偏りなく測定するいわゆる「5点測定」を行い、その平均から風量を求めて判断する方法を採っています。ただし現場レベルでは、5点にこだわる必要はなく、同一断面で大きくばらつきがあることもしばしばなので、少し多めに測定点をとったほうが良いでしょう。

熱式風速計の先端センサー部には、風向により測定部に向ける方向が決まっており、印がついていますので間違わないようにしなければなりません。また、風向に対して垂直に向けて測定しなければなりませんので、天井換気扇など高い位置を測定するときは、脚立等を使用するか別途伸縮棒などをジョイントして測定すると正確に測れます。最近では、先端部が曲がるタイプの風速計もあります。

計測した風速の平均値と、給気or排気口の開口面積を、以下の計算式に当てはめると実際の測定風量が求められます。

測定風量=3600×開口面積(m2)×測定風速(m/s)

必要換気量に対して、実際の測定風量が上回っていれば問題なく、下回っている場合は「要是正」となります。カバーの汚れによるものであったり、ダクトや機器の不良等など原因を突き止め、改善するための対応が必要になります。

※[参照]JIS A1431(空気調和・換気設備の風量測定方法)

計測した風速で風量計算をして、必要換気量を上回っているか確認する際、現場ですぐに確認したい場合があります。また報告書作成時に、計算を何度も繰り返すのは面倒なものです。そこで換気量測定の計算フォームを用意しました。ご活用下さい。
【無窓の居室】換気量計算フォーム

空気環境測定による換気状況の推定

CO2濃度測定
定期検査では、無窓の居室等の換気量測定に代えて、二酸化炭素濃度測定での判定でも有効とされています。ただし、この場合において、機械換気設備が良好に運転できていることが前提となります。無窓の居室となる場合、機械換気設備の設置が義務付けられていますので、機械換気設備が設置されていないので二酸化炭素濃度測定で検査するというのは趣旨が違います。この場合は、機械換気設備の未設置ということで要是正の判定となります。

在室者がおよそ設計定員の状況において、換気設備を運転し、室内の二酸化炭素濃度が1000ppm以下、又は外気との二酸化炭素濃度の差が650ppm以下であれば、必要換気量以上の換気ができていると推定できます。
また「1000ppm以下」というのは、人体に悪影響を及ぼすことない基準とされています。


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