特定建築物の定期調査や建築設備の定期検査を行う上で、必要となる測定機器やあると便利な道具類があります。
これから定期報告業務をされる資格者の方はもちろん、日々の建物管理で点検される場合にも参考にして頂ければと思います。


打診棒

特殊(特定)建築物の調査には、外壁仕上材の調査項目があります。主に、タイル貼や石貼、モルタル塗の外壁仕上材を採用している建物では、この打診棒を使って「浮き」がないかを調査していきます。打診棒という名前ですが実際には、外壁を撫でるように転がしながら、音の反響で浮きが発生しているか判断します。浮きが発生している箇所は、仕上げ材の裏に空洞ができており、反響で音が変わるのですぐにわかります。
基本的には手の届く範囲の外壁打診を行いますが、築10年を過ぎた場合には外壁の全面打診調査が必要になります。詳しくはこちらを参照下さい。

外壁全面打診調査とは
打診棒は伸縮式となっており、レギュラーサイズのものからロングサイズもあります。ロングサイズを使用すれば高いところまで打診できます。ただし、若干重たくなります。



点検フック棒

非常用照明の検査は、器具にある点検用フックを引っ張って、点灯確認を行います。(電灯盤からブレーカーで操作する場合もあります。)そこで便利なのが、点検フック棒です。打診棒と同じく伸縮式になっており、先端が二股に別れたフックになっています。これで引っ掛けて引っ張ることができます。非常用照明や誘導灯は器具によってフックの形が違います。プラスチックの輪っかがついているものもあれば、紐が垂れ下がっているものもあります。この点検フック棒ならどちらのタイプでも対応できます。


打診棒とは別に点検フック棒を持っている方が作業効率は良いのですが、やはり荷物が多くなります。そこで便利なのが打診棒の先端の玉にジョイントする点検フックです。一石二鳥のアイテムでとても便利です。ただし、作業をしていると意外と取付け・取り外しが面倒に感じてきます。またプラスチック部分が徐々に弱ってきます。特に冬場は取り付け部分が固くなりますので、力を入れすぎると割れてしまう可能性があります。
土牛の打診棒ロングは先端の球の直径がレギュラーより大きく、なんとか取付けられますが割れる可能性が高いので、使用しない方がベターです。


テンションゲージ・プッシュプルゲージ

防火扉に挟まれるという事故があり、H20年の法改正で防火扉の運動エネルギーと閉鎖する力(閉じ力)を測定することとなりました。常時閉鎖式の防火扉は「特定建築物定期調査」で実施し、感知器連動の随時閉鎖式の防火扉は「防火設備定期検査」で実施します。
この時に使用するのがテンションゲージやプッシュプルゲージとなります。万が一挟まっても大丈夫な値として150N(ニュートン)以下と定められています。その為、150N以上まで測定できるものが必要となりますので、200N程度までのものが良いでしょう。

テンションゲージを実際に購入する際に注意しなければいけないことがあります。商品によって測定できる「測定範囲」の単位が「N」と「cN」とがあり表記が違う点です。「N」はニュートンなので200Nとあれば150N以上測れますので問題ありません。「cN」とはセンチニュートンですので「1N=100cN」となります。その為、150N以上測定できる200Nのものを購入する際、単位表記が「cN」であれば20000cNのものを選ばなければなりません。テンションゲージを選ぶ際は、単位に気をつけて下さい。
調査時に、100Nを超えるような場合、相当な勢いと力で扉が閉まってきます。大きな防火扉の場合は、怪我をしないようにその場でドアチェックなどを調整できるならば調整しましょう。



照度計

建築設備の定期検査では、非常用照明の照度を測定を実施します。
火災などの事故の際に電源が失われても、安全に避難できるように非常用照明が最低限の明るさを確保してくれます。避難経路で最も暗くなる場所の床面において、白熱灯で1lux(ルクス)以上、蛍光灯やLED灯で2lux以上の照度の確保が必要です。

デジタル照度計は、数千円のものから数万円のものまで、非常に製品に幅があります。建築設備の定期検査では、規定照度以上あるかどうかの測定になりますので、そこまで精度高い測定機器は必要ありませんが、業務用として使用する為、故障が少なくまた長く使っても大きな誤差が出ないものがようでしょう。日本の測定機器メーカーのものや、海外測定機器メーカーの製品を日本の販売店が販売しているものであればまず安心です。


風速計

建築設備検査の中の「機械換気設備」の検査では、無窓の居室や火気使用室において、風量測定を実施して、その部屋に必要な換気量を満たしているか検査しなければなりません。その他にも、機械排煙設備の検査においても、排煙機本体と各区画に設置されている排煙口の風量測定の実施が必要になってきます。

風速計には大きく2種類あり、プロペラが付いたベーン式の風速計と先端にセンサーが付いた熱線式の風速計です。どちらでも定期検査で使用できますが、手の届きにくい箇所の測定を考えるとやはり熱線式の方が扱いやすいでしょう。最近では、測定データはスマホ画面で確認できるものも販売されており、有線でつながっていないために取り回しがよく、伸縮棒などとジョイントすればより高い天井でも測定できそうです。

ただし、熱線式は先端のセンサー部がデリケートですので、不用意に触ったりしないように注意しなければなりません。比較的高価な製品になるので、良いものを長く使いたいものです。




二酸化炭素(CO2)濃度計

機械換気設備の定期検査では、無窓の居室において、換気量測定の代わりに二酸化炭素濃度の測定でも代替えできることとなっています。
空気中の二酸化炭素含有率が100万分の1000、つまり1000ppm以下であれば、人体の健康に悪影響がない値とされています。二酸化炭素濃度は、測定する居室の使用状況や測定場所で大きく変わる場合がある為、その部屋の実際の使用状況に合わせて測定するのがよいでしょう。


レーザー距離計

定期調査・検査に関わらず、建築関係の作業をする場合に非常に重宝します。説明するまでもないと思いますが、レーザーで簡単かつ正確な距離が計測できます。
定期調査や検査で使用する場面は、例えば通路・階段幅員、部屋内寸法や天井高、屋外では前面道路幅員などなど、様々測定する機会があります。コンベックス(メジャー)に比べ、作業スピード・測定精度が良いことに加えに、一人であっても測定ができるので助かります。
ただし、逆にレーザー距離計で測りづらい場所は、コンベックスの方が扱いやすい場合もあるので、両方あったほうが良いでしょう

手頃なレーザー距離計はほとんどが屋内用ですので、基本的に屋外ではレーザーの光が弱いため測ることができません。他の業務も含め屋外での測定を行う方などは、屋内・屋外用のレーザー距離計がおすすめです。最大測定距離が100mを超えるものもあり、1台あればあらゆる用途をカバーできます。 また、二辺を測れば、面積や高さを自動で算出してくれる機能等がついているので、利用価値は十分にあります。


その他

高倍率のデジタルカメラ

今やスマホのカメラで十分に事足りる時代になりましたが、調査時にはズームの倍率が欲しい時があります。特に外壁の調査では、外壁のクラック等を確認したい場合でも、高所や敷地が狭いために離れた場所から確認しなければならない時があります。

このようなとき高倍率のズーム機能をがあれば、詳細を確認できます。30倍以上のズームができるものであれば非常に役立ちます。あと現場では、作業中にぶつけたり埃の多い場所での使用などもあるので、あまり高価過ぎるものよりは、扱いやすく耐久性が良いものがいいのではないでしょうか。


指差し棒

現場調査時に問題個所があった場合、この指差し棒で指示し写真を撮影します。何もなしで撮影する場合と比べ、指摘箇所が非常に分かり易い写真になります。壁面のクラックや外壁タイルの浮きなどは、後で写真を見てもその箇所がわからない場合があります。こういったアイテムがあれば、報告書を作成する上でもわかりやすい書類になります。

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