東京都の定期報告において、特定行政庁23特別区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、荒川区、北区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、板橋区、練馬区、墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区)と、八王子市、町田市、府中市、調布市、三鷹市、武蔵野市、日野市、立川市、国分寺市、西東京市、その他の市町村は東京都となります。またその中で、多摩地区は「東京都多摩建築指導事務所」、島嶼(とうしょ)地区は「東京都都市整備局市街地建築部」となっています。

なお、平成29年4月から「西東京市」が特定行政庁となっていますので、報告書提出の際はご注意下さい。

対象となる建築物

定期報告の対象となる建物の用途や規模は、以下のボタンよりご確認いただけます。
東京都都市整備局 定期報告が必要な建築物一覧

特定建築物の定期調査

対象となる用途の中で、特定建築物の定期報告は3年毎に1回の報告となっていますが、「劇場、映画館、演芸場」「観覧場、公会堂、集会場」「旅館、ホテル」「百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、場外車券売場、物品販売店業を営む店舗」「地下街」の用途に属するものは、毎年報告が必要となっています。
不特定多数の人が頻繁に利用し、万が一の災害時には大きな被害につながる建物については、より厳格にこの定期報告制度を適用して、安全対策を強化しようとされています。

調査内容については、国土交通省の告示が基本にはなりますが、東京都建築安全条例の内容も含まれますので、現地調査・報告書作成時には注意が必要です。具体的には「直通階段からの避難経路の区画の状況」についてや、「自動回転ドアの状況」についてなどがあります。

建築設備の定期検査

法的に対象となる建築設備は「換気設備」「排煙設備」「非常用の照明装置」「給水設備及び排水設備」の4種類となっています。建築設備の定期検査の報告内容については、平成28年6月の法改正の影響はなく、従来通り特定行政庁に任されています。その為、建築設備の報告自体がない特定行政庁もあります。また多くの特定行政庁では「換気設備」「排煙設備」「非常用の照明装置」の災害避難時に重要な3種類に絞り、「給水設備及び排水設備」の検査を省略しているところが多くあります。しかし東京都では省略せずに4種類すべての検査が必要となっています。
また特定建築物と同様に、検査内容は、国土交通省の告示の内容に東京都建築安全条例の内容も含まれます。

防火設備の定期検査

平成28年6月施行の法改正で新設された「防火設備」定期検査報告ですが、3年間の経過措置期間があります。
東京都の場合、その3年間の中で各建物用途ごとの特定建築物の報告年度に合わせて、段階的に報告を求めるようにしています。例えば、映画館やホテル、百貨店や地下街と言った毎年報告が必要な用途では、平成28年度内の報告となります。3年毎に報告の建物用途では、それぞれ平成28年度に報告のもの、平成29年度に報告のもの、平成30年に報告のものと分けられ、平成31年3月31日までには対象となる建物が全て実施するような運びとなります。初回の報告後は毎年の報告になります。
東京都都市整備局 防火設備の経過措置イメージ図

報告期限

特定建築物の報告時期は、毎年の報告が必要な「劇場、映画館、演芸場」「観覧場、公会堂、集会場」「旅館、ホテル」「百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、場外車券売場、物品販売店業を営む店舗」「地下街」については、毎年11月1日から翌年の1月31日までとなります。
その他の3年毎の報告に属する用途については、それぞれの報告年度の5月1日から10月31日までとなります。

建築設備、防火設備の検査報告につきましては「前年の報告日の翌日から起算して1年経過する日まで」に報告することとなっています。つまりは、全体で報告時期を決めることはせず、物件ごとに前回から1年以内にやって下さいということになります。ただし、「前年の報告日の翌日から」となっており「検査日から」でないことに注意が必要です。検査日から通常1ヶ月以内に報告書を提出しなければなりませんので、次の報告まで実質1年ありません。建物の利用状況などを考慮して計画的に進める必要があります。

提出に関する注意点

新築等で検査済証を受けている場合、初回の定期報告が免除になります。東京都の場合、毎年報告の必要な「特定建築物(映画館等の一部)」「建築設備」「防火設備」は、検査済証の交付を受けた日の翌日から起算して、2年を超えない時期に報告書を提出する形となります。

防火設備の定期検査は、消防点検の報告書で代替えすることはできません。消防点検は消防法に基づく制度ですので、今回の建築基準法で定められた防火設備の定期検査とは別物となります。消防点検の結果では、防火設備の検査項目の内「感知の状況」の部分しか該当しません。しかし、感知器の連動を見たり、防災盤の確認をしたりと作業ベースでは重なる部分がありますし、消防点検資格者の方がその範疇について詳しいことがほとんどです。検査資格者と建物の所有者・管理者で、消防点検と合わせて防火設備の検査を実施できるように計画するなど、費用面・作業効率面でのすり合わせが必要となってくるでしょう。

報告書の提出先

東京都は、定期報告の窓口業務を各機関に委託しています。報告書提出時には、建物の延べ面積や建築設備の種類などに応じて事務手数料が必要です。また定期報告がきちんと行われれば、各機関から「報告済証」のステッカーがもらえます。

特定建築物・防火設備

特定建築物の定期調査報告と、防火設備の定期検査報告は「公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター」が受付機関に指定されています。

〒150-8503 東京都渋谷区渋谷2-17-5 シオノギ渋谷ビル7・8F
電話03-5466-2001(特定建築物)
電話03-5466-4031(防火設備)
受付時間が、9時00分~12時00分、13時00分~16時00分までとなっていますのでご注意下さい。
※郵送による受付はしていません。
公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター

建築設備

建築設備の定期検査報告は「一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター」が受付機関に指定されています。

〒105-0003 東京都港区西新橋1-15-5 内幸町ケイズビル2F
電話03-3591-2421(定期報告部)
受付時間は、月曜日~金曜日の9時30分~12時00分、13時00分~17時00分までとなっています。
年末、年度末~年度初めは非常に混雑しますので、この時期を避けて余裕を持って報告するのが良いでしょう。
一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター

昇降機等・遊戯施設の定期報告について

エレベーターやエスカレーター、小荷物専用昇降機(テーブルタイプを除く)、ジェットコースター、観覧車、ウォータースライドなどの遊戯施設の定期検査報告は「一般社団法人 東京都昇降機安全協議会」が受付機関に指定されています。
一般社団法人 東京都昇降機安全協議会

【用語】

特定行政庁とは・・・
建築主事を置く地方公共団体のことで、建築行政における確認申請の提出先と言えばわかりやすいかと思います。すべての市町村に建築主事が置かれているわけではないので、小さい市町村では、特定行政庁は府や県となります。

建築主事とは・・・
建築確認を行うために置かれる公務員のことです。現在、建築確認業務は、建築基準適合判定の資格をもつ民間検査機構にも開放されています。

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